著者も私と同じような気持ちをもってこられたことに共感しました

2年前に夫が開業した当初、患者さんがゼロの日もあったり、看護師が突然辞めたり、私も経営について右も左も分からず、出口の見えないトンネルの中にいるような気持ちをもっていました。この本の「はじめに」を読んで著者の赤裸々な体験談にはびっくりしましたが、著者も私と同じような気持ちをもってこられたことに、とても共感しました。開業時からずっと抱えてきた不安、迷い、ストレス、そういったことに対する答えは「これだったんだ！」と思いました。例えば、夫から「クリニックに出てきて欲しい」と求められていたのに、実家の父からは「経営に口を挟まないほうがいい」と言われたことで悩んでいました。しかし、著者は「ワークライフバランス」のページで「言わせておけばよい」と明快でした。こんなこと言ってくれる人がいなかったので、とても勇気づけられました。小さな悩みかもしれませんが、この本で具体的に導いてもらえたところは多いです。できれば、もっと早くこの本と出会いたかった……。
今は、週に一回程度ですが、クリニックに顔を出しています。これからは、クリニックがよりよい方向に進むよう、私自身の目標がそこからブレないように、この本をときおり読み返していこうと思っています。たまたま、知り合いの奥さまがご主人が開業なさることで悩んでおられるようなので、この本をお勧めしたところです。

大阪府　消化器内科クリニック・院長夫人　M.S.さん

院長の視点に立つと、自分の妻に苦労をさせている点に気づくことになります

この本は、奈良県香芝市の永野整形外科クリニックで「院長妻」として運営管理を行っている永野光さんが書かれたもので、タイトルには「院長夫人へのメッセージ」とありますが、同じく整形外科で院長をしている私も拝読させていただき、非常に勉強になりました。診療科に限らず、診療所を経営されている院長先生も読んでおかれるとよいのではないかと思いました。　自分もそうですが、多くの診療所の先生は、医学とか病院の中での治療は学んできても、診療所の経営・運営・管理についてはほとんど知らないまま、開業をしてしまうのではないかと思われます。大部分の診療所には、病院のように経営も人事も総務もそれぞれの部門の専門職がいてくれるわけではなく、困った時に参考になる内容が書かれています。
大きなトラブルを回避することにもつながるので、本格的に困る前に、ときどき引っ張り出して必要なところを読み返すのにも便利です。経験に基づき書かれた42の項目で、きっと多くの開業医夫妻を待ち受けている困難を回避あるいは克服するうえで、こんなことに気をつけてとアドバイスをしてくれていますので、ありがたい内容です。運営管理する側の「診療所あるある」についてのガイドブックというところでしょうか。
院長の視点に立つと、自分の妻に苦労をさせている点に気づくことにもなると思いますので、読み返すことで、ときどき反省や感謝をすることにもつながるのではないでしょうか。診療所の運営が思うようにいかない場合には、自分たちの診療の問題点を洗い出すことにも役立ちますので、ここをがんばってみようと考え、修正することにもつながります。　同じようなところでつまずき、苦労している方が多いということかもしれません。　私の妻もこの本の出版よりも前に永野さんとセミナーを通じて知り合い、共通点も多いため、夫婦同士で懇意にさせていただいていますが、学ぶこともたいへん多く、実際に永野整形外科クリニックに見学に行き、クリニックの業務の流れを肌で感じることもおすすめです。読んでから見る、そして見てから読み返すとよりよいのではないかと思います。
永野さんは講師として全国を飛び回られているので、いろいろな地域の多くの施設から得られた悩みの共通点も数多く把握されているのではないかと思います。そんなわけで、そう遠くない日に続編が出版されることも期待しています。

栃木県　薬師寺運動器クリニック・院長　伊澤一彦先生

「院長夫人も変わらないといけない」と言う永野さん

本書は、様々な事情で院長夫人になった方々への大きなエールとなっている。
単なる院長夫人の日常雑感、エッセイなどではない。だからといって実務書でもない。その点変わった本ではある。
永野さんは、元々MSW出身だ。院長と職員とに挟まれた自身の悩みを解決すべく、多くの院長夫人たちと交わり、観察するなかで、MSWのスキルを使って、もっと何かできるはずとの思いが高じ、多くの院長夫人の疑問に答える体裁で自身の考えを打ち出す。読んでいてわかりやすく、現時点で「院長夫人学」の一番の入門書となっているのではないか。
永野さんは現在、私も担当している大阪府保険医協会「院長夫人懇談会」の運営委員として活躍されておられるが、そこで常に「院長夫人も変わらないといけない」と言い続けて来られた。本書が生まれたきっかけもそこにあるが、変わらないといけないとすると、どういう方向に変わらないといけないかの“一つの方向”を本書は示したと言えるのではないか。

“なにわのトラブルバスター”こと　大阪府保険医協会　尾内康彦氏