吉川眞 著
ISBN 978-4-938866-38-9
B5判 207ページ
「この患者さんは、なぜ協力してくれないのだろう」、「何をそんなに怒っているのだろう」という医療者の思いのなかには、患者の心の奥底にある心の痛みに医療者が気づいていないことがある。本書は、19の事例を通して、患者と医療者の関わりを考え、患者とのコミュニケーションに必要な“傾聴”、“共感”、そして心理的な“支援”を学ぶための書である。
case 1 高リスクの手術を受けるかどうかを悩む男性
case 2 自らの心に素直になれない末期がん患者1
case 3 手術を拒否した悪性黒色腫患者
case 4 アルコール依存の夫を抱えたがん患者
case 5 家族の崩壊の危機を心配する末期がん患者
case 6 父親に殺意をもつにいたったアトピー患者
case 7 早産で未熟児網膜症児を出産し苦しむ母親
case 8 大動脈瘤手術を受けることを悩む高齢者
case 9 実習のたびに過呼吸となる学生
case 10 難病の独居患者を急に介護することになった兄夫婦
case 11 兄の突然の入院で妙におとなしくなった幼い弟
case 12 夫へのがん告知に反対し献身的に介護する妻
case 13 がんの息子を在宅で看ることを不安に思う母親
case 14 犯罪歴のある末期がんの入院患者
case 15 自らの治療中断でがんの発見が遅れた患者
case 16 入院先から家に戻ってしまった聾唖の患者
case 17 ドクターショッピングを繰り返す喘息患者
case 18 幼児虐待の疑いがある母親
case 19 夫に病名告知したくとも反対されている妻
患者の“非”身体的痛みの解消のために
1 援助者に必要な資質
2 援助のための関係づくり
3 専門職としての傾聴
4 聞き手として注意すべきこと-耳を傾けるとき
5 話し手として注意すべきこと-対話するとき
6 非言語コミュニケーション
7 援助者に必要な四次元的思考
8 相手に対する援助者の感情
9 援助者自身を知ること-自己覚知
10 患者が抱える不安
11 不安を解消しようとする心的メカニズム
12 患者が医療を受けようとする心理
13 病気へ逃避する心理
14 家族の心理
15 援助者としての共感
16 共感することができるために
17 共感とオウム返し
18 すこしでも共感的反応に近づくために
19 対人援助のための行動変容アプローチ①-基礎編
20 対人援助のための行動変容アプローチ②-技法編
21 対人援助のための行動変容アプローチ③-応用編
キーワード索引